光通信ファイバーは、大陸間そして各国の会社・家庭を繋ぎ、昨今の膨大なデータ通信を行う道の役割をしています。しかしながら低損失な光ファイバーでも長い距離を伝送すると光信号強度が減衰するので、、途中で光信号を増幅する必要があります。エルビウム(Er)という元素を添加した特殊な光ファイバーでできた光増幅器(EDFA: Erbium Doped Fiber Amplifier)を使うと、従来方式のように弱くなった光信号を電気信号に変えることなく、光信号の0と1の情報を保持したまま光強度だけ大きくすることが出来ます。これは誘導放出による光増幅によって実現され、いわゆるレーザー発振と呼ばれる特殊な状態の光の放出を利用しています。仕組みはガラスに意図的に添加したEr3+というイオンを光信号とは別のレーザー光によって、まず高いエネルギー状態のEr3+にします。そこに弱くなった光信号を入射すると、高エネルギー状態のEr3+が光信号と同じ光を放出して元の状態に戻り、光信号の強度が増幅されます。なお、写真の緑色の発光は、光信号の光ではなく(光信号の光は近赤外光であり、目には見えません)、副産物的に発生する光をとらえています。
文責:
京都大学
上田 純平
写真提供:
AGC株式会社
京都大学
上田 純平
写真提供:
AGC株式会社