人類の発展とともに、20世紀初頭から大規模な科学計算をする必要が出てきました。それまでのコンピュータは、力学的な現象をつかったアナログ計算機や、電気的接点の有無でデジタル計算処理するリレー方式の機械的仕組みで動いていました。しかし、計算精度と速度の改善が求められ、その状況の中で開発されたのが三極真空管です。二極真空管の電子を放出するカソードと電子を受け取るアノードの間に、金属出来たグリッドを挿入したガラスデバイスを三極真空管と呼びます。グリッドに電圧をかけることで電流の大小を高速に制御できるため、高速スイッチ素子として使うことができます。初期の電子計算機(ENIAC)は17,468本の真空管が用いられ、従来よりも1,000倍速く計算が出来るようになりました。しかし、カソードを加熱して電子を出すため、消費電力が大きくなる問題点がありました。そのためコンピュータは、その後真空管に代わり半導体トランジスタを基本素子として使うようになりました。今ではない真空管方式のコンピュータですが、その発明により現在も使われるコンピュータの形式(ノイマン型コンピュータ)が確立し、科学技術の発展に大きな影響を与えています。
文責:
AGC株式会社
山崎 芳樹
AGC株式会社
山崎 芳樹
ハーマンHゴールドスタイン、計算機の歴史、共立出版