カメラ

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カメラにはたくさんのいろいろな種類がありますが、どれも基本的なつくりは同じで、その仕組みは次のようになっています。小さな箱があり、一つの面にガラスでできたレンズ、反対側に記録パーツがあります。そして、レンズと記録パーツの間に光の量を調節する絞りとシャッターがおかれています。外から入ってきた光はレンズを通り、記録パーツに当たります。記録パーツは光に反応して外の景色が写ります。

レンズは人間の目にあたる部分です。しっかりと物を見るために良いレンズが必要になります。カメラのレンズは虫めがねのようなものが1枚だけ付いているのではありません。凸レンズ(中心がふくらんでいるレンズ)、凹レンズ(中心がへこんでいるレンズ)、ガラス板などいろいろな種類のガラスを何枚も組み合わせてできています。これは、1枚のレンズではどうしてもさけられないさまざまな収差(しゅうさ)と呼ばれる光のズレを、複数のレンズを組み合わせることで取りのぞくためです。収差があると、像のシャープさが失われたり、コントラストが悪くなったりします。現在のカメラ用レンズでは光の通り方をコンピュータで計算して、最適な像ができるように設計しています。

ガラスは、レンズ以外に記録パーツでも歴史的に重要な役割を果たしてきました。このことについて、カメラの歴史をみていきながら紹介します。
小さな穴を通った光が壁(かべ)などに外の景色を映すことは、紀元前の昔からよく知られていました。このしくみを利用して作られたピンホール(針穴)カメラが、いわばカメラの原点です。ただし、もっとも初期のピンホールカメラは、カメラといっても撮影(さつえい)機能はありませんでしたので、針穴の反対側にあるすりガラスのスクリーンに映し出された景色などを人間が手描きで写し取るしかありませんでした。そこで、科学的な方法で写し取る方法が研究された結果、1839年、フランスのルイ・ダゲールが、銀メッキした銅板を感光材料として使う「ダゲレオタイプ(銀板写真)」を発表しました。この「ジルー・ダゲレオタイプ・カメラ」が世界で初めて発売されたカメラです(現存する日本人によって写された最古の写真は1857年に撮影された島津斉彬(しまづなりあきら)のダゲレオタイプ(銀板写真)といわれています)。よりきれいな写真を撮影するために新しい感光材料として光を感じる薬品をガラス板にぬった「湿板」が1851年に発明されました。さらに保存ができ工場で大量に作って持ち運びもできるようにゼラチンを使った感光材料をガラス板にぬる方法が1871年に発明されました。この方法は「湿板」に対して感光材料が乾燥していることから「乾板」と呼ばれます。その後、1889年にセルロイドの柔らかさを生かして巻物状にした「ロールフィルム」が発売されるようになり、1935年にはカラーフィルムが、さらに20世紀の半ばには撮影した直後にプリントが見られるインスタント・フィルムも登場して、写真技術の発達はさらに加速していきました。その後1980年代後半にデジタル方式のカメラが発売され、1995年には撮影した画像をその場ですぐに確認できる液晶画面を世界で最初に採用したデジカメが発売されました。この製品をきっかけとして一気にデジタルカメラが世界中に普及していきました。このことから、国立科学博物館が認定する重要科学技術史資料(未来技術遺産)の一つに認定されています。
文責:
熊本大学
村田貴広

写真提供:
日本カメラ博物館