顕微鏡は対物レンズ、接眼レンズを組み合わせた光学系によって微小な物体を拡大して観察する装置です。顕微鏡の重要なパーツであるレンズにガラスが使われています。顕微鏡の発明は、1590年、2枚のレンズを組み合わせたことがはじまりといわれています。その後、ロバート・フックは改良した組合せレンズの複式顕微鏡を自作し、さまざまな動植物の精緻な観察図版を収録した「ミクログラフィア」を1665年に発表しました。またフックは、顕微鏡により小さな構造を発見して細胞 cellと名付けました。顕微鏡の発明により生物学は飛躍的に進歩しました。その後、1880年代、光学器械メーカーのカールツァイスはより性能のよい顕微鏡を開発するために、光学理論に基づいた顕微鏡の設計を担う物理学者のアッべ、理論設計を実現するために必要なレンズに適した新しいガラス組成の開発を担う化学者のショットとともに産学連携研究に取り組みました。その結果、当時としては画期的な高性能顕微鏡の製造に成功しました。多種多様な新しいガラスでできたレンズによって顕微鏡の性能が飛躍的に向上したことで、とりわけ医学に多大な貢献をもたらしました。パスツールは病原体微生物と免疫の関係を明らかにし、各種ワクチンを開発しました。このように伝染病病原体の顕微鏡による同定と治療法の確立という細菌学の発展に貢献しました。
文責:
熊本大学
村田貴広
写真提供:
株式会社アフロ
熊本大学
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株式会社アフロ