レンズ

レンズ
光を曲げて一点に集めたり、物を大きく映し出したりするように、光を自在に操るためにはレンズが必要です。今ではガラス製のレンズがよく使われていますが、ガラスが作られた初めのころはガラス自身が不透明であったため、貴重で高価な水晶がレンズ材料として使われていました。しかし、12世紀イタリアで技術発展とともにガラスの透明性が向上しました。そのため、自由な形への加工が簡単で、細かく光の屈折を調整できるガラスがレンズ材料として使われ、多くの場所で光を操れるようになりました。レンズは観察したいものの大きさを変えた光の像をつくる性質があります。複数枚のガラスレンズを組み合わせることによって、身近にある目では見えない小さなもの観たり(顕微鏡)、遠くにあり小さく見える景色や星を観る(望遠鏡)ことができるようになりました。最先端科学で使う大きな望遠鏡においても、ガラス材料は宇宙の彼方の星を見るための基材として活躍しています。また、最先端のガラスレンズは、他の材料では実現が出来ない程、短い波長の光でも集めることができる性質があるため、半導体の微細回路パターンを作る時にも使われています。今では光に限らず、何かを集めたり、曲げたりする素材や現象のことをレンズと呼ぶようになっています。
文責:
AGC株式会社
山崎 芳樹

図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み