フロート法は、1945年にイギリスのPilkington社により開発された大型のガラスの製造方法の1つです。高温で液体になった金属のスズ(Sn)の上に、溶かすことでトロトロになったガラスを流し出して浮かべる(フロート)ことで、上下面ともに平らでゆがみのないガラスを作ることができます。大きい窯では1日に1000tを溶解させることが可能で、大量生産に適しています。全長が1 kmの設備になる場合もあり、原料を溶かした窯から連続的に流れてくるので、この方法で作製するガラスは、好きな大きさで切断できるので、数メートルサイズの大きいガラスをつくることができます。また、スズの上に浮かんだトロトロのガラスは押したり、引っ張ったりすることでガラスの厚みを自由自在に変えることができ、薄いものは0.1 mm(100 μm)、厚いものは約20 mmのガラスを作ることが可能です。色々な大きさ、厚みをねらって作ることができるため、現在(2021年)では世界で最も使用されているガラスの生産方法です。製造されたガラスは、ビルの窓ガラス、自動車用ガラス、液晶ディスプレイと非常に幅広い分野で使用されています。
文責:
AGC株式会社
土屋博之
AGC株式会社
土屋博之