円筒法

手吹き円筒法
手吹き円筒法
日本は19世紀末までガラス産業は比較的小さいサイズのビンや食器類を生産するだけに留まっていました。建築窓ガラスなどで需要の大きな平坦かつ数mサイズの大きな板ガラスは国内では作製できなかっため、輸入品に頼る状況でした。そのような中、20世紀初頭の吹き円筒法の導入は国内の板ガラス工業誕生のきっかけとなりました。吹き円筒法の作り方は、まず溶融ガラスの液面に接触させた吹きさおで空気を送り込みながらさおを引き上げることで円筒を成形します。次に円筒の側面にまっすぐに切り込みを入れて、Cの形の断面をつくり、ガラスがの粘度が柔らかくなるまで加熱しながら成形し、CがIの形になるようにして長方形の板を作り作製する方法です。当初、人が口から空気を吐くことで円筒作製していましたが、この手法を手吹き円筒法と呼び、直径30cm程の円筒が作製出来ました(説明写真下)。後に機械により空気を送る機械円筒法の作製法へと改良が進み、直径1mの円筒を作製出来るようになりました(説明写真上)。この方法により、日本国内で初めて大きくある程度平坦なガラスを大量につくれるようになりました。その後、引き上げ法やフロート法、フュージョン法など、より平坦かつ大量にガラスを作製出来る方法が開発され、今日のガラス生産に至っています。
文責:
AGC株式会社 山崎芳樹

参考文献:
Chemistry&Chemical Industry 64, 617
ガラスの辞典(朝倉書店)p.276