「ニュートリノ」とガラス

カミオカンデ光電子倍増管
素粒子物理学で重要な役割を果たしているニュートリノは、最近その性質が解明されつつあり、ニュートリノ天文学という分野も発展しています。中性で質量が軽いニュートリノの検出は大変難しく、高感度検出のためには光電子増倍管というガラス管の存在が不可欠でした。

「ニュートリノの世界初の観測(カミオカンデ)」


日本のカミオカンデは3000トンもの水を地下タンクに蓄え、その周囲に1000本の光電子増倍管を張り巡らせた観測装置です。宇宙から飛来したニュートリノが水中で発生するチェレンコフ光を光電子増倍管で検出します。このカミオカンデ観測を含む、宇宙ニュートリノの検出の先駆的業績により、2002年に小柴昌俊氏、Raymond Davis Jr.(デイビス)の2名にノーベル物理学賞が与えられました。

「ニュートリノ振動の観測(スーパーカミオカンデ)」


ニュートリノが伝搬の過程で周期的にその性質を変える現象を、ニュートリノ振動といいます。1998年に日本のスーパー・カミオカンデにおいて、ニュートリノ振動が確認されました。ニュートリノ振動が観測されたことにより、長らく謎だったニュートリノの質量が確認され、素粒子物理学の理論研究に一石を投じました。現在稼働しているスーパー・カミオカンデには50,000トンの水が蓄えられ、1万本以上の光電子増倍管が使用されています。この研究成果に対し、梶田隆章氏とArthur B. McDonald(マクドナルド)の2名にノーベル物理学賞が与えられました。