マイクロ流路

マイクロ流路
ガラスや樹脂、シリコンの表面を削ったり接合することで、液体が通過できる細い溝を形成した部品をマイクロ流路と呼びます。ミリメートルから、それよりも5桁程小さいスケールを狙い通りに加工する技術は、長年の間光学材料や半導体分野で培われてきた微細技術により実現できるようになりました。マイクロ流路は近年特に生命科学の分野で応用が進んでいます。細胞一つ一つを流路に並べて検査したり(セルソーティング)、DNA増幅の一種の方法であるPCR検査を簡易化したり出来るためです。生命科学以外にも、溶液の化学反応のマイクロリアクターとしての用途としても用いられています。細く流路のデザインを設計出来ることからことから、複数流路から反応性の液体を流すことにより、ビーカーサイズでは不可能な均一な混合を必要とする化学反応を適切に制御したり、反応順序を制御することで合成の効率を上げることが出来ます。これまで同時に何個ものガラスビーカーを使って試験してきたことを、一つのチップで試験することが出来るようになり、高速かつ効率的な化学操作が出来るようになっています。
文責:
AGC株式会社
山崎 芳樹