人工骨

人工骨
ガラスは、世界で初めて骨と直接強固に結合することが確認された材料で、現在では欠けた骨や歯の修復や皮膚の傷の治療に用いられています。骨や歯の再生には、それらとよく似た材質や、細かい気孔を持った構造の材料が適しています。体液中でNa+やCa2+といった特定のイオンを放出しやすいガラスを用いれば、骨や歯と似た材質で、同じような気孔をもった材料を作ることができます。このような生体活性材料で、損傷した身体機能の再生を促進することができます。最初の生体活性ガラスはアメリカのLarry L. Henchによって1969年に発見・発明されました。その後、他のガラスや結晶化ガラスにも生体活性を持つものが多く見出され、骨や歯の修復のために実用化されています。現在では、化粧品や薬用化粧品、歯磨き粉の添加剤にも利用され、皮膚の炎症の鎮痛効果、悪臭防止、歯の過敏症対策、などの効果も見出されています。
文責:
東京工業大学
岸哲生

写真提供:
京都大学 小久保 正 、京都大学 山室 隆夫