理化学実験器具

理科学実験器具
理科の実験でお馴染みの、ビーカー、フラスコなどの理化学ガラス実験器具の多くは、錬金術の時代のガラス器具がルーツとなっています。 たとえば、近代化学の父と呼ばれるラヴォアジェが執筆した「化学原論 」(1789年) には、ラヴォアジェ夫人によって描かれたガラス実験器具のイラストを見ることができます。その後、多くの研究者が自身の仮説を実験によって証明するために、創意工夫されたいろいろなガラス器具を発明してきました。

どうして実験器具にはガラスが使われているのでしょうか。それはガラス独特の特長のためです。ガラスは透明なのでフラスコの中で起きている変化を直接観察できます。化学的に安定なので薬品と接触しても変化することがありません。熱にも強いので加熱しても変形せず、しっかりと栓をすれば気体も閉じ込めることができます。これらに加えて、ガラスは、研究者のアイディアに応じて、自由自在に複雑な形にすることができるからです。

古代から作られてきたこのような実験用の器具も普通のびんと同じソーダ石灰ガラスでした。その後、化学の発展にともなって、19世紀にホウケイ酸ガラスが発明されました。ソーダ石灰ガラスに比べて、ホウケイ酸ガラスは薬品に対して侵食されにくく、急激な温度変化に対しても割れにくくなりました。今、みなさんが理科の実験で使っている器具のほとんどはホウケイ酸ガラスでできています。
文責:
熊本大学
村田貴広

参考文献:
左巻 健男,「絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている」ダイヤモンド社 (2021年). ISBN: 9784478112724