IH調理器の天板(トッププレート)には低熱膨張の結晶化ガラスが用いられています。普通のガラスは温度変化に弱く、熱湯をかけるなど急に加熱すると熱膨張により割れることがありますが、この結晶化ガラスは急な温度変化でも割れることがありません。結晶化と呼ばれる工程により、ガラス内部にガラスの伸び縮みを打ち消すとても小さな結晶を均一に析出させることによって、透明で温度が変化しても伸び縮みしないような性質の結晶化ガラスになります。この特徴により、調理の際に天板の一部が急に加熱や冷却されても割れないのです。また、ガラスは表面が滑らかで汚れが簡単に拭き取れ、傷がつきにくく、長期間美しさを保つことができるメリットもあります。この低熱膨張の結晶化ガラスの表面や裏面に印刷やコーティングによって色や模様をつけることにより、鍋やフライパンを置く場所をわかりやすくしたり、温度を表示させたりして、デザイン性と使いやすさを両立させたものが色々な調理器メーカーから提案されています。このような熱膨張を抑制した結晶化ガラスは反射型望遠鏡のミラーの基板などにも利用されています。「鏡」の説明ページも併せてご覧ください。
文責:
日本電気硝子株式会社
松下佳雅
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松下佳雅