ステンドグラス

ステンドグラス
ステンドグラスはガラス工芸のみならず、中世美術の中でもとりわけ壮麗な芸術です。技術の基礎が築かれたのは教会がガラス窓を入れることを推奨したカロリング朝時代(751年-987年) で、その後、ゴシック時代(12世紀後半から15世紀)に最盛期を迎えました。ステンドグラスが最も発達したのは北フランスで、その代表がシャルトル大聖堂にみることができます。シャルトル大聖堂には、3面のバラ窓をはじめ、実に176ものステンドグラスから光が差し込みます。
 どうしてガラスはこのように彩りが豊かなのでしょうか? ガラスはもともと無色透明なので、色を付けることにはもってこいの材料です。実はガラスが発見された古代から色とりどりのガラスが装飾品のみならず実用品までつくられてきました。ガラスの着色方法は、主に二通りあります。一つは金属イオンをガラスに溶かし込む方法です。具体的には次のイオンです。紫(マンガン Mn)、青紫(ニッケル Ni)、赤紫(ネオジム Nd)、青(コバルト Co または 銅 Cu)、緑(クロム Cr)、黄(ニッケル Ni )。もう一つは粒子をガラスに析出させる方法です。具体的には黄(銀 Ag)、赤(金 Au または 銅 Cu)の金属コロイドや黄(CdS)、赤(CdSe)の微結晶による着色があります。
文責:
熊本大学
村田貴広