リュクルゴス 杯

リュクルゴス 杯
紀元前から紀元後4世紀の約500年間のローマ帝国時代にガラス製造技術が飛躍的に向上しました。そのなかで、このような稀代の銘品が多数製作されました。このリュクルゴス杯は、ギリシア神話に登場するリュクルゴス王がモチーフになっているグラスで、4世紀頃ローマで作られました。特筆すべき点は、反射光は緑色で、透過光は赤色となり、光の照射角度でガラスの色が変わる二色性という珍しい性質をもちます。本ガラス中には金と銀のナノ粒子が存在していることが明らかになり、近年のナノテクノロジーの研究から、その着色は金属ナノ粒子のプラズモン共鳴と呼ばれる現象に起因していると言われています。
文責:
熊本大学
村田貴広