海岸の砂からガラス!?

浜辺の砂にはガラスの主成分であるケイ素と酸素から成る石英が豊富に存在します。浜辺の砂(石英)とソーダ灰などを高温にすると融けて混ざったのち、冷えることでガラスになります。紀元前3000年前ごろ、地中海東側沿岸にすむフェニキア人商人が、砂浜で商品のソーダ灰の入った袋をかまどにして煮炊きしていたところ、ソーダ灰と砂が融け混ざって偶然ガラスになったのがガラス製造の始まりという伝説が残っています。別の説では、やはり紀元前3000年前ごろ、メソポタミア文明で青銅器を作り始めたころに非常に高温にかまどを加熱する技術が発達した結果であるとされています。焼き物を焼くときに釉薬をぬり高温に加熱すると、表面にガラス状の光沢ある水漏れしない陶器が作れます(現代の陶器の茶碗でもつるつるしたものは釉薬が融けてガラスになったものです)。この釉薬を高温で融かす技術が発展してガラス製造に発展したともされています。人類がガラスを作り始めたのは文明発生の早期であるといえます。その後、古代エジプトやローマ帝国などにガラス製造技術が伝わりながら、さらに発展していったと考えられています。
文責:
東北大学
高橋儀宏

参考文献:
ガラスの百科事典、作花 済夫 (編さん)、朝倉書店
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4254201246
トコトンやさしい ガラスの本,作花済夫,日刊工業新聞社 (2004年)
ISBN: 9784526053108
おもしろサイエンス ガラスの科学,ニューガラスフォーラム編著,日刊工業新聞社 (2013年)
ISBN: 9784526070648