ガラス工芸で広く使われているガラスの成形技法のひとつです。紀元前1世紀半ば、ローマ時代のはじめごろに発明されて以来、2000年以上にわたって受け継がれてきた技法です。この発明以来、様々な形のきれいなガラスがたくさん作られるようになった、大きなブレイクスルーとなった重要な技法です。溶解炉と呼ばれる高温の炉の中でドロドロに溶融したガラス融液を、吹き竿と呼ばれる金属管の端に巻き取り、竿の反対側から息を吹き込むことで膨らませる方法です。このような方法で作るとガラス内部に冷却ムラなどによるひずみが発生し割れやすくなっているので、再度変形しない程度の温度に加熱してからゆっくり冷やすアニールと呼ばれる作業が必要です。竿を手に持ったまま空中で息を吹き込んで膨らませる宙吹きガラスと、石膏や金属などの金型の中で膨らませることで型の形通りに膨らませる型吹きガラスがあります。身近にあるガラスコップや花瓶から、ビーカーなどの容器まで広く用いられています。また、容器だけでなく、昔は窓ガラスのような板ガラスもこの手法で作られていました。丸く吹いた吹きガラスを回転させて遠心力で平らにするクラウン法や、円筒状に吹いたガラスをチョキチョキと切り開いて加熱することで軟らかくなったガラスが板状に開くシリンダー法などで窓ガラスが作られていました。筒の先についたガラスに息を吹き込むことで、いろんな形のガラス製品に命が吹き込まれています。
文責:
産業技術総合研究所
篠崎健二
産業技術総合研究所
篠崎健二