ガラスレーザー

ガラスレーザー
レーザーとは人工的につくりだされる特殊な光の状態です。このレーザーの特長を使って光を一点に集中させることで高強度の光をつくることができます。強力なレーザー光を作り出すためにはレーザー素子を大きくする必要があります。レーザー素子にはいろいろな種類があり、高均質・大型・大面積を製造することができるのでガラスが用いられています。ガラスレーザーにはリン酸を主成分としてレーザー光の素になるネオジムイオン(Nd3+)が微量添加された特殊な赤紫色のガラスが使われます。日本で最大出力を誇る世界有数の大型レーザー装置・激光XII号が大阪大学レーザー科学研究所にあります。発振器から270 m の距離を精度よく伝播・制御し、0.01 mm 以下の精度でレーザーを集光できます。100ピコ秒(1兆分の1秒)から10ナノ秒(1億分の1秒)のパルスの光を自由な形で制御できる12本のビームからなっています。このガラスレーザーを使って、高強度・大出力のレーザー光を発生させて、核融合反応を起こす研究が活発に行われています。このレーザー核融合方式は脱炭素社会を構築するための究極の発電方法として世界中でも研究が推進されています。核融合の話はちょっと難しいのでリンクの「どんなんかな核融合」を読んでみてね。

高強度・大出力のレーザー光をつくることができるので、ガラスレーザーはレーザー核融合研究のみならず、宇宙物理学、超高圧物理学や新しいレーザープロセスなど、学術から産業に役立つ実験に利用されています。

ガラスレーザーは一家に1枚「鉱物」「未来をつくるプラズママップ」でも紹介されているので、読んでみてね。
文責:
熊本大学
村田貴広

写真提供:
大阪大学レーザー科学研究所