内部を真空引きしたガラス管に、大気圧より3~8桁程度低い圧力(100~0.01 Pa)の微量の気体と一対以上の金属(電極)を封入した素子を真空放電管と呼びます。真空放電管には真空に耐えられる強度と真空状態を維持できる気密性が必要でありガラスにはまさに打ってつけの用途です。真空放電管の金属の間に電圧をかけることで、電位の低い電極に気体分子が衝突し、電極表面から電子が出てきます。真空中では、電子は電極からの電位差に差に応じ真空放電管中で高いエネルギーを得て、気体分子や蛍光物質に当たると光を放ちます。この発光現象は、内部の気体圧力に応じていくつかの種類に分類することが出来ます。真空放電管の発明により、電子が持つ性質の理解が進み、更にはX線発生装置やスイッチング作用を持つ三極真空管の発明にも繋がり、科学と産業の両方の発展に役立ちました。また、現在でも半導体の微細製造プロセスの現場等の真空度を測る機器として、真空放電管が使用されています。
文責:
AGC株式会社
山崎 芳樹
写真提供:
株式会社アフロ
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山崎 芳樹
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株式会社アフロ