ガラスの着色

ガラスの着色
ガラスは、様々な色を付けることが出来ます。これは、水に絵の具を溶かすように、ガラスに着色材と呼ばれる化合物を数%添加することによって発色するので、ガラスの他の特性は保持したまま色だけを変えることができます。着色剤には、色々な種類があるのですが、最も一般的なのは遷移金属と呼ばれる元素による着色です。元素は自分の体の周りにたくさんの電子を持っていて、その電子が光を吸収します。ガラスに入れた遷移金属元素が赤色の光を吸収すると、白色光から赤色の成分がなくなってしまい、人間の目には青緑色に見えることになります。さらに、ここから緑色も吸収されると、青色になり、さらに青色の光も吸収されると、真っ黒になります。絵の具は、すべての色を足すと真っ黒になりますが、光はすべての色の光を取り除くと真っ黒になるのです。
ガラスに色を付けることは、美しい工芸ガラスを創る目的のほかに、日光による劣化を防ぐためや特定の色の光だけを取り出すためのフィルターなどの目的にも使われます。
文責:
京都大学
上田 純平

写真提供:
東京都立大学・梶原研